2010年4月 | 燦燦太陽光発電.エコ - 2

2010年4月

マンションの太陽光発電

2010年04月09日(金)

毎日新聞サイト筑後版の4月3日記事「屋上に太陽光発電パネル 大牟田市に10階建てエコマンション /福岡」から一部を引用する。

◇家族4人世帯の光熱費、月額約2000円に

大牟田市の中心市街地、新栄町の一角に、10階建ての分譲マンションがお目見えした。屋上に南向きに取り付けられた太陽光発電パネルが覆う「全戸オール電化」の“エコマンション”だ。

マンションを建設したのは北九州市の住宅設備メーカー「芝浦特機」(新地哲己社長)。05年に同市小倉南区に太陽光発電を設置したマンションを手がけて以来、大牟田市のマンションは10棟目。分譲型は初めてだ。

マンションは1階が店舗で、2階以上に住居63戸が入る。屋上には一面に、太陽光発電パネル(約1・2平方メートル)654枚が並び、各戸に10枚分が割り当てられる。同社によると、各戸の光熱費は家族4人の標準的な世帯で1戸あたり月額約1万5000円が約2000円に抑えられるという。

昨年3月に着工し、今年2月末に完成。総事業費は約13億円。3月25日に開かれた見学会や完工パーティーには、関係者や市民らが詰めかけた。契約状況も順調といい、同月末からは入居が始まった。
...(C)毎日新聞

マンションに太陽光発電システムを設置する話題はときどき聞くが、「太陽光発電を備えたマンション」記事のようにその発電電力はマンションの共用部分に使われる程度のものであった。今日話題の太陽光発電は規模が大きい。

大牟田市に新築された10階建て分譲マンションの屋上には太陽光パネル654枚が敷き詰められている。このマンションは1階が店舗、2階以上が63戸の規模だ。ということは、各戸に10枚分の太陽光発電パネルが割り当てられていることになる。

この太陽光発電パネルのサイズは1枚1.2平方メートルと、若干小さい。通常は1.5平方メートルのサイズで出力は0.2キロワットなので、同じ能力の太陽光パネルと仮定すると、1.2平方メートルの出力は0.16キロワットとなる。各戸は10枚なので、各戸に割り当てれた太陽光発電パネルの出力はだいたい1.6キロワットとなる。これは通常の戸建住宅に設置される太陽光パネルの約半分~4割だ。

このマンションを建てた会社によると、家族4人として各戸の光熱費は通常月額1万5千円がたったの2千円になる、とのことだ。この太陽光発電システムの出力は1.6キロワット程度と小さいが、光熱費抑制の観点からは効果は絶大だ。

ちなみに屋上には1.2平方メートルの太陽光パネルが654枚敷き詰められている、ということは、太陽光発電パネルの設置面積は 654枚×1.2平方メートル ≒ 785平方メートルとなり、これはだいたい28メートル四方に等しい面積だ。

マンションの屋根の面積は限りがあるのでそれを多くの戸数で割ると1戸当たりに割り当てられる太陽光発電出力は小さくなってしまう。しかし、1戸当たりの出力が通常の半分程度の1.6キロワットのレベルでも、光熱費抑制には充分な効果があることはわかった。もちろん二酸化炭素排出抑制にも役立っているし、この程度の出力の太陽光発電システムの付いたマンションは今後全国に増えることが予想される。

広島の高校に設置された太陽光パネル

2010年04月11日(日)

今日は広島の話題。4月7日付の毎日新聞サイト広島版記事「広島国際学院高:老朽化で、校舎間の川に新橋 /広島」から。

広島国際学院高(広島県安芸郡)(海田町蟹原2、太田茂校長)の2、3号館と1号館の間を流れる三迫川に、新しい「ふれあい橋」(全長約20メートル、幅約7メートル)が完成した。60年に架けられた「国際橋」の老朽化が進み、昨年10月から新しい橋の建設を進めていた。名称は「ふれ合いを大切にしたい」と決まった。

橋の四隅には発光ダイオードの照明を設置し、防犯や交通安全対策に配慮。2、3号館側の「国際広場」に太陽光発電パネル(横2メートル、縦1・5メートル)を設けて照明用の電気を発電、環境・省エネにも配慮した。
...(C)毎日新聞

この橋の竣工式は、この高校のホームーページ中の「ふれあい橋竣工式」に詳しい。

設置された太陽光発電パネルは、この画像から判断すると3枚のパネルのようだ。すると、通常は1枚の出力が0.2キロワットだから、3枚なので0.6キロワット、即ち600ワットの出力となる。ただ、設置面積は2メートル×1.5メートルなので、通常の太陽光パネルの面積は1.5平方メートルであることから、通常のパネルなら2枚となるところが実際は画像から3枚と思われるので、小さめの太陽光パネルを使用しているのだろう。ということは出力は600ワットではなく、400ワット程度と可能性が大きい。太陽光発電の出力としては非常に小さいが、広場の目立つ場所に設置されていることから、環境教育には非常に役立つと思われる。

池の水を太陽光発電パネルに掛ける

2010年04月12日(月)

今日は富山県射水市の話題。読売新聞サイトの4月11日記事「日照時間少なくても大丈夫、水上式太陽光発電」から。

池の水を利用し、効率的に電力を供給できる水上式太陽光発電システムが、富山県射水市の「県民公園太閤山ランド」の人工池に完成した。

池の中に約13メートル四方のポリエチレン製土台を固定し、パネル86枚を並べて発電する仕組みで、富山県と、富山市の空調設備会社「日本空調北陸」が共同開発。暑い時期には、池の水をパネル全体にかけて冷却することで発電効率を高め、冬には積もった雪を解かすことができるという。

富山県は年間の日照時間が少なく、全国最多の山梨県の約7割。...(C)読売新聞

射水市の県民公園の池に設置された水上式太陽光発電システムは、発電効率を高めるために雪国ならではの工夫がしてある。それは、池の水を太陽光パネルにかけることだ。そのことで次の2つのメリットがある。
(1)夏は、太陽光パネルが冷却されることで発電効率が高まる。
(2)冬は、太陽光発電パネルに積もった雪が溶けることで太陽光発電が再開できる。

太陽電池の特性として、温度が上がると発電能力が下がる、ということがある。夏季は太陽光パネルの温度を下げることができれば発電効率が上がるので、池の水をかければそれが実現できる、というわけだ。また冬は、太陽光パネルの上に雪が積もると発電はゼロとなってしまうので、雪が積もらない工夫が望ましい。池の水を掛けて雪を溶かしてしまう、面白いアイデアだ。

引用記事にあったが、富山県の日照時間は全国最多の山梨県の7割程度と少ない。この日照時間の少なさに対応する工夫が「池の水」ということだった。

なおこの射水市には太陽光発電接地補助金がある。補助金交付要綱によれば、補助額は1件について5万円だ。1キロワットではなく1件についての額だ。市町村レベルの太陽光発電設置補助金の額としてはかなり少ないのが残念だ。

岩手県の太陽光発電設置補助金

2010年04月14日(水)

岩手県の話題。毎日新聞サイト岩手版の4月13日記事「省エネ設備:県が補助 15日から受け付け /岩手」から。

(岩手)県は15日から、新エネルギー設備を導入する個人住宅や中小企業を支援する制度の受け付けを始める。前年度より対象設備の種類を増やし、小規模事業所にも手厚くすることで、省エネルギー社会の拡大を促す考えだ。

補助は、太陽光発電やLED照明器具、ペレットストーブ、高効率給湯器などの設備を二つ以上導入することが条件だ。事業所は、発電出力を太陽光で10キロワット未満、風力で500キロワット未満などとし、中小企業や個人事業所を想定した。

住宅の補助額は、設置費の10分の1以内(上限5万円)で予算額2500万円。事業所は住宅と同じ補助率だが上限を100万円とした。住宅500件、事業所50件を見込み、予算額が尽き次第、受け付けを締め切る。県は19日まで各合同庁舎内で説明会を開く。問い合わせは同室(電話019・629・5273)へ。【狩野智彦】(C)毎日新聞

岩手県の太陽光発電設置補助金の話題だ。昨年度の岩手県の太陽光発電設置補助金は、1件について2万円、予算総額1000万円と、大変小規模だった。それが今年度の予算額は2500万円というから2.5倍。県の意気込みが感じられる。

この件に関する岩手県のホームページ「岩手県新エネルギー等導入促進事業」を見た。引用記事と異なる内容ではないか!!

県のホームページによれば、この岩手県新エネルギー等導入促進事業は大きく柱が2つある。ひとつは住宅用補助、もうひとつは事業所用補助だ。その住宅用補助では太陽光発電は補助の対象ではない。次の中から2つ以上を設置する際に、設置費用の10%かつ上限10万円を補助する、という内容だ。

  • 太陽熱利用機器
  • ペレットストーブ
  • 地中熱ヒートポンプ
  • LED照明器具(電球のみを除き複数導入)
  • 高効率給湯器

県がなぜ太陽光発電システムを補助の対象にしなかったのか意図は不明だが、想像するに国の7万円の補助と市町村レベルの補助で充分と考えたか。または、岩手県は太陽光発電に向かないと担当者が考えているのか(そんなことは全然ない)。

なお事業所用補助では、太陽光発電と風力発電も補助対象になっている。

最初に引用した毎日新聞記事を何度読み返しても、住宅用に太陽光発電システムも補助の対象のように読める。しかし県のホームページではそうではない。また引用記事の最後に、”問い合わせは同室(...)へ”とあるが、「同室」とは何か?記事を読んでもどこにも書いていない。県のホームページを見ると、それは「環境生活企画室」であることがわかる。

この記事を書いた毎日新聞の狩野さん、記事は正確に書こうね!!

葛西水再生センターは追尾式の太陽光パネル

2010年04月15日(木)

東京新聞サイトの4月14日記事「太陽とくるり 都の下水施設に「追尾型」発電設備」から。

東京都は、太陽の向きに合わせてパネルが回転する新型の太陽光発電設備を下水処理施設「葛西水再生センター」(江戸川区)に設置し、今月から稼働させた。「一軸追尾」と呼ばれる仕組みで、固定型に比べて発電効率を向上できるのが特長だ。大規模な実用化は全国初という。

都下水道局によると、パネルは追尾型が二千二百六十八枚、固定型を合わせ計三千八百三十六枚。一年間で、一般家庭百六十世帯の年間電力使用量に相当する五十九万キロワットを生み、センターを運営する電力の一部に充てる。(C)東京新聞

江戸川区の葛西水再生センターの太陽光発電システムが稼動した、というニュースだ。この太陽光発電設備の一部は、太陽の位置に合わせて太陽光パネルの向きを変える追尾式だ。太陽光パネル3836枚中2268枚が追尾式というから、約6割の太陽光パネルが追尾式だ。

この追尾式は「一軸追尾」という追尾方式。二軸あればパネルはすべての方向を向くことができるが、一軸とのことなので、太陽の高度に合わせて向きを変える方式だ。内部のコントローラソフトは、設置場所の緯度経度と日時から太陽高度を計算し、それに合わせてパネルの向きを最適な向きに動かしている、と予想できる。

このニュースは東京都のサイトにもあった。葛西水再生センターのページによれば、この太陽光発電システムの出力は490キロワット。ということは、引用した東京新聞の記事は誤りだ。引用記事中、"五十九万キロワット"ではなく"五十九万キロワット時"と、単位が違っている。

3836枚の太陽光パネルで出力490キロワットということは、太陽光パネル1枚当たりの出力は割り算すると約0.13キロワットとなる。サイズにもよるが通常の太陽光パネル1枚の出力が約0.2キロワットであることを考えると、能力は低い。これは、東京都のニュースページによれば、この太陽光発電パネルが"従来の多結晶型に比べシリコンが100分の1に削減できる「薄膜太陽電池」"を使用していることによる。シリコン薄膜型太陽電池は、シリコン使用量が少ないため価格は安いが能力は落ちる。

なお東京都の最初のページによれば、このセンターにはNaS(ナトリウム・硫黄)電池による蓄電システムが備えられている。2400キロワットの出力を7時間持続できる性能とのことなので、これは大規模な蓄電システムだ。

最後に、この太陽光発電システムはどのメーカーの物かが気になる。ネットで調べたところ、かなり古い記事だが日経サイトの2008年5月20日記事「シャープと都下水道局,新型太陽電池システムの実証実験を開始」を見つけた。タイトルのとおり、このシステムはシャープが作ったものだった。このシステムは、シャープと東京と下水道局が共同で実証実験を行っていたのだ。シリコン結晶型太陽電池がメインのシャープが薄膜型太陽電池、ということが面白い。もちろんシャープはいまは積極的に薄膜型の生産を始めているが、2008年の当時はそうではなかったはずだ。この薄膜型太陽電池は、タンデム構造の薄膜シリコン型太陽電池、とのことだ。また追尾式にすることで、年間出力が1割程度増える、ということもこの記事からわかった。追尾式にすることで1割の出力増ということは、追尾式にすることがコスト的にメリットがあるのか、難しいところだろう。


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