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カテゴリー:海外

タイの太陽光発電所

タイ王国の太陽光発電については、このブログでは昨年2010年5月26日記事タイに納入された太陽光パネルに書いた。タイ東北部の太陽光発電所向けに京セラが6メガワット分の太陽光パネルを納品した、という話題だった。

その後のタイの太陽光発電事情について調べてみた。タイの日本語情報サイトnewsclip.be の昨年6月28日記事「タイ北部に太陽光発電所 出力7・4メガワット」から一部を引用する。

タイのエンジニアリング会社ガンクン・エンジアリングは6月28日、タイ地方電力公社(PEA)と売電契約を結んだ。タイ北部ペチャブン県に出力7・4メガワットの太陽光発電所を建設し、25年契約でPEAに供給する

第1期開発分(3メガワット)は年内に稼動する予定。投資額は3・6億バーツ。第2期は第1期の完工後に着工する。投資額5億バーツで、年内に新規株式公開(IPO)を実施し、資金調達を図る。

タイ政府は2009年末に9メガワットだった太陽光発電の設備容量を2020年末に707メガワット、2030年末に1107メガワットに引き上げる方針で、テレビ局を中心とするメディア財閥や美容整形病院のオーナーなどタイの他業種から太陽光発電への参入が相次いでいる。また、4月に東北部ナコンラチャシマ県で稼動した出力6メガワットの太陽光発電所には京セラが太陽電池モジュールを供給した。

先の6メガワットとは別に、タイ北部に7.4メガワットの大規模太陽光発電所が建設される、という話題だ。

この記事最後に、タイ政府の方針が書いてある。太陽光発電を、2020年末に707メガワット、2030年末に1107メガワットに引き上げる、という方針だ。タイも他国と同様に太陽光発電に今後は力を入れる方針であることがわかる。

次の話題は、タイのさらに大規模な太陽光発電所だ。シャープのニュースリリース記事タイ王国の太陽光発電所へ薄膜太陽電池を供給によると、世界最大規模と言える73メガワットの太陽光発電所に、シャープは薄膜型太陽電池モジュールと周辺システムを受注した、とのことだ。73メガワット、これは太陽光発電所としては大変大規模だ。この発電所は今年2011年末までに運転開始の予定、とのこと。完成予想図によれば、タイらしく森の中の太陽光発電所だ。

ここで面白いのが、シャープの受注した太陽光モジュールが薄膜型、ということだ。シャープは高性能の結晶型が得意だが薄膜型も手がけつつあり、これはその大量受注、ということだろう。価格競争では薄膜型にならざるを得ないだろう。結晶型よりは変換効率は落ちるが、それは広い面積でカバーすればよいだけ、という発想だろう。想像だが、安い中国メーカーと闘うためかなり無理したかもしれない。

広い設置面積が確保できるときは薄膜型、日本の住宅のように狭い面積で最大の効率を求められたときは結晶型、という方針が一般的になるだろう。

チベットの大型太陽光発電所

朝日新聞サイトの3月22日付け人民日報記事「大型太陽光発電所がチベットにまた一つ建設へ」から引用する。

無錫尚徳太陽能公司は青蔵高原に建設した10メガワットの大型太陽光発電所が今年6月末に竣工する予定だ。先月着工した、山東省最大のチベット支援計画、日喀則(シガツェ)の10メガワット太陽光発電所に続く、西蔵(チベット)地区の大型太陽光発電応用プロジェクトとなる。中国新聞網が22日伝えた。

世界各国が現在、太陽エネルギーの開発と利用を重要なエネルギーの発展方向としている。欧州連盟(EU)、日本、米国は2030年以降、エネルギー供給安全の重点を、太陽エネルギーなどの再生エネルギーに置く計画だ。太陽光発電は2030年までに世界の電力供給の10%以上、2050年には20%以上を占めると予想されている。太陽光産業の大々的な発掘と開発が将来的なエネルギー利用の主流となることは間違いない。

チベットは中国でも太陽エネルギー資源が最も豊富な地域で、年平均日照時間は3000時間に及び、サハラ砂漠に次いで世界で2番目に多い。90年代以降、科学者の研究と普及が進み、居住地が分散している農牧地域の人々の電力使用問題が太陽エネルギーの利用により解決され、すでに阿里(ガリ)や那曲(ナクチュ)などの地域で幅広く利用されている。こうした地域の太陽光産業の発展の見通しは明るい。

チベットに10メガワットの太陽光発電所が6月に竣工する、という話題だ。記事には「大型」太陽光発電所とあるが、確かに極端ではないが大型だ。

この記事の中に、「太陽光発電は2030年までに世界の電力供給の10%以上、2050年には20%以上を占める」とある。しかしこのたびの原発事故で、太陽光発電が加速されることが予想される。

記事にあった、チベットはサハラ砂漠に次いで日照時間の多い地域、という情報は初めて知った。日本は梅雨があるため年間日照時間はチベットよりは少ないが、日照時間の多い地域での大規模太陽光発電所建設の促進が急務だ。

三洋電機はイタリアの大規模太陽光発電所にHIT納入

5月27日のSankeiBizサイト記事”三洋電機、過去最大の太陽電池受注 高性能「HIT」型、市場拡大へ”から一部を引用する。

三洋電機は26日、イタリアの大規模太陽光発電所(メガソーラー)に出力7567キロワットの太陽電池を納入すると発表した。納入するパネルは3万2202枚の同社製「HIT太陽電池」。ドイツ銀行が主導するコンソーシアム(共同事業体)が9月の完成を目指してイタリア南東部に建設する発電所が採用を決めた。世界的に環境配慮への意識が高まっているのを背景に、需要拡大が続く太陽電池事業を強化、主に産業用での採用を働きかける方針だ。

受注金額は明らかにしていないが、三洋としては過去最大の受注案件となる。

発電所は、ドイツ銀の資産運用部門などが出資するSPC(特別目的会社)が事業主体。イタリアでは、太陽光で発電した電力を買い取る制度が整備されており、太陽光発電の売電ビジネスが活発化しているという。ドイツ銀は、SPCの持ち分を金融商品にして、売電事業による利回りを求める投資家に販売する。

単結晶シリコンと薄膜系のアモルファスシリコンを組み合わせた複合型のHIT太陽電池は、発電効率が20%と一般的な太陽電池に比べ5ポイント程度高く、設置スペースが限られている住宅向けに適しているとされてきた。今回、広大な設置面積を確保できる発電用にも納入できたのを機に、産業用への拡大を図っていく。(C)SankeiBiz

三洋電機はイタリアの大規模太陽光発電所に出力7567キロワットの太陽電池を納入すると発表した。納入するのは三洋電機の高性能なHIT太陽電池による太陽光パネル3万2202枚。この数字から、このHIT太陽光パネル1枚当りの出力は、7567キロワット÷3万2202枚 ≒ 0.23キロワットだ。通常の単結晶型の太陽光パネルの出力が約0.2キロワットだから、このHIT太陽電池は能力が高いことがわかる。

この話題の面白いところは、大規模太陽光発電所に納入される太陽電池が高性能型の太陽電池ということだ。大規模太陽光発電所は設置面積がかなり広い。なので通常は、能力はそれほど高くないが価格が安い、薄膜型太陽電池が一般的だ。ところが今回の案件はそうではなく、太陽光発電パネル商品としては最も能力の高いHIT太陽電池が使用される。それは、この発電所が金融商品だからだ。

この発電所はドイツ銀行が主導して設置し、ドイツ銀行の持分を金融商品にして売電による利回りを追求する金融商品、という位置付けである。このような太陽光発電を利用した金融商品が成り立つのは、さすがに売電価格の高いヨーロッパならでは、だ。

この引用記事の後半は、三洋電機の状況を的確にまとめた良い記事だ。次のとおりだ。

■高い製品力実証 強力な武器に

太陽電池市場では、原材料となるシリコンの使用量が、従来の「結晶型」に比べて100分の1程度で済む低コストの「薄膜型」が伸びるとみられている。発電効率は約10%と結晶型に比べて半分だが、価格が安く、産業用での導入が進むことが期待されている。すでに国内首位のシャープが薄膜型の新工場を稼働させるなど、各メーカーは攻勢をかけている。こうした中、三洋が薄膜型ではなく、結晶系のHIT太陽電池で発電所向けに納入を決めたことは、三洋の製品力の高さを改めて立証した格好だ。

三洋は「薄膜型」の太陽電池も手掛けている。すでに新日本石油と折半出資会社を設立し薄膜型の研究開発を進め、今年度中に生産、販売を行う計画だ。

これにより産業用については、顧客の要求に応じて、高出力のHIT太陽電池か低コストの薄膜型を提供できるようになる。

低コストだけでなく技術力の高さを武器に、三洋は成長が見込まれる産業分野で優位性を大いに発揮しそうだ。(C)SankeiBiz

まとめると、三洋電機は高性能のHITと、価格の安い薄膜型の両方を事業化している。顧客の要求に応じてそれらを提供できることは非常な強みだ。

タイに納入された太陽光パネル

今日は久しぶりに海外の話題だ。先日大きく話題になったタイ。5月26日付けの読売新聞サイト記事「タイに太陽光パネル納入…京セラ」から。

京セラは25日、タイの発電事業者が東北部に建設した太陽光発電施設向けに計6000キロ・ワット分(計約2万9000枚)の太陽電池パネルを納入したと発表した。東南アジア最大級の太陽光発電施設で、一般家庭約5000世帯分が1年間に使う電力を賄えるという。(C)読売新聞

タイの太陽光発電施設に京セラが太陽光パネルを納入した話題だ。この太陽光発電所の出力は6000キロワット、ということは6メガワット。東南アジアでは最大級の太陽光発電施設、とのことだがこの大規模出力では当然だろう。

この6000キロワットのために納入した太陽光パネルは約2万9000枚。ということは、太陽光パネル1枚当りの出力は、6000キロワット÷29,000枚 ≒ 0.2キロワットとなる。この数値から、納入された太陽光パネルはごく一般的なものであることがわかる。

また、出力が6000キロワットであることから、日本なら年間発電量は6,000,000キロワット時となるが、日照の多い東南アジアなので7,000,000キロワット時とする。この電力が一般家庭5000世帯分というから、タイの一般家庭の年間使用電力は 7,000,000キロワット時 ÷5000世帯 ≒ 1400キロワット時となる。日本の家庭なら年間使用電力量は3000~4000キロワット時程度なので、さすがにタイの家庭の電力消費は日本の1/3~1/2程度であることがわかる。

それにしても、たったこれだけの短い記事からいろいろなことがわかるものだ。

中国で太陽光発電の研究施設の建設がスタート

中国の人民日報日本語サイトの2月12日記事「太陽光発電技術国家重点実験室の建設がスタート」から一部を引用する。

太陽光発電技術の国家重点実験室がこのほど科学技術部の認可を経て、河北省保定市の英利集団で起工した。投資総額は5億4千万元。人民日報海外版が12日に伝えた。

同実験室は、国内外の著名な専門家による学術委員会、省・市の主管部門、委託機関の指導者による管理委員会の指導と監督の下、「開発、流動、連合、競争」の4つを重視した運行メカニズムを採用し、英利集団の太陽光発電産業チェーンと技術モデルを利用して、主に▽晶体シリコン材料▽太陽電池と太陽電池モジュール▽太陽光発電システム--の応用および基礎研究を行っていく。

研究・開発の方向は、▽シリコン材料の調合および特徴研究▽高性能太陽電池および部品の研究▽太陽光発電システムの応用と基礎研究--など。

国家科技イノベーションシステムの重要な構成部分である同実験室は、ハイレベルな科学プロジェクトの研究開発、人材育成、学術交流、成果の実現が一体となった重要な拠点であり、中国の太陽光発電分野において、最高の研究・開発レベルを有する。
...(C)人民網日本語版

いつも思うのだが、この人民日報日本語版サイトに日本語は読みにくい。この記事では「英利集団」が何であるかがよくわからない。ネットで検索したところ、2006年4月17日付という非常に古い日経BPネットサイト記事中国ニュース解説 太陽光発電に投資ブーム中に、太陽光発電会社に投資する会社として英利集団の名がある。最近の記事では、新華社サイトに

英利集団(YGE.NYSE)傘下の六九硅業有限公司は新たなシリル化処理法で3000トンエレクトロニック純度の多結晶シリコンを生産する計画だ。このほど、同生産プロジェクトは試運転に成功し、企業の総合的な電力消費は30%以上下降する見込みだ。これにより、中国で高純度のシリコンを起点とするシリコン産業チェーンの...(C)新華社

とあるので、英利集団は太陽光発電関連の大会社であることが想像できる。その傘下に、多結晶シリコンを生産する会社があるようだ。もちろんこの多結晶シリコンは太陽光発電用だ。

さて最初の記事に戻ると、太陽光発電の国家重点実験室がその英利集団で起工した、というニュースだ。研究目的は
”▽晶体シリコン材料▽太陽電池と太陽電池モジュール▽太陽光発電システム--の応用および基礎研究”
とある。「晶体シリコン材料」とは単結晶か多結晶かがよくわからないが、直前引用記事からすると、また世の流れからして、多結晶シリコン材料と思う。

この研究は要するに、単結晶シリコンよりは安い多結晶シリコンを用いて、より少ないシリコンでかつより高効率の太陽電池を研究すること、が目的のひとつ、または主目的だろう。

中国はシリコン「後」の他のタイプの先端的な太陽電池の研究は日本にかなり遅れをとっている、と新聞記事で読んだことがあるが、やはりそのとおりで、シリコンでいかに安く太陽電池を製造して世界に売るか、ということが国家戦略、とみなすことが出来るだろう。

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