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カテゴリー:海外

中国BYD社のリン酸鉄リチウム電池による家庭用蓄電システム

2009年12月14日(月)

今日は中国の話題。中国の経済ビジネス情報のNNA.ASIAサイト12月2日記事「太陽光利用の蓄電システム、BYDが試験開始」から一部を引用する。

深セン市の電池・自動車メーカー、比亜迪(BYD)が、同市坪山の工場内で、太陽エネルギーと風力から得た電力を同社開発の鉄電池に蓄電し、電気自動車や家庭用エネルギーとして利用する家庭用蓄電システムの実用化に向けた試験を、本格的に開始したもようだ。将来的に欧米諸国などで需要が拡大するとみて、同蓄電システムの輸出を狙う。
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1日付第一財経日報によると、坪山工場の北西側に2棟の別荘風の家屋「未来村」を建設。太陽エネルギー発電と風力発電の施設を設置し、ここで得た電力を同社が自主開発した1,000キロワットの鉄電池(リン酸鉄リチウム電池)に蓄電し、別荘内のすべての家庭用電源や電気自動車のエネルギーとして利用する。主に日中に得た電力を夜間の電灯やテレビなどで使用したり、電気自動車の駆動電力として供給する。
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比亜迪汽車鎖售公司の徐安・公関部経理は「量産化を実現した鉄電池を活用して自動車用の太陽エネルギー蓄電システムを実用化し、新エネルギー市場を拡大するのが狙い」として、すでに国内の電力ネットワーク企業への供給を目指して交渉を進めているほか、将来的に蓄電システムを欧米に輸出することを目指しているとした。

また業界内では、米著名投資家のウォーレン・バフェット氏がBYDに投資したのは、エコカーそのものよりも、BYDの鉄電池を利用した蓄電システムが全米規模で供給される可能性に注目したことが背景にあるともされており、同社の太陽光発電と蓄電システムに注目が集まりそうだ。(C)NNA.ASIA

深セン市の電池・自動車メーカー、比亜迪(BYD)の話題だ。BYDは太陽光発電と風力発電による電力を蓄電池に溜め電気自動車や家庭用エネルギーとして使用する家庭用蓄電池システムの実用化テストを開始した。

この蓄電池は、略称鉄電池、リン酸鉄リチウム電池だ。私は聞いたことが無いので調べたところ、だいぶ前だが日刊工業新聞の6月9日記事「早大など、リン酸鉄リチウムイオン電池搭載のEV製作」を見つけた。次のとおりだ。

早稲田大学の紙屋雄史教授は三井造船などと共同で、リン酸鉄リチウムイオン電池を使った小型電気自動車(EV)「WEV―0 Advanced」の製作を始めた。5分間の走行に必要な充電を50秒で行える非接触型の急速充電が特徴。電池容量を最小限に抑えて、燃費向上と製造費低減を目指した。年内にも完成する。完成後、頻繁に充電するショートレンジ型EVシステムの実用化に向け、実証実験に入る。

搭載する電池は電圧51・2ボルト、容量30アンぺア時。ガソリン車のタンク容量にあたる総電力量は1・5キロワット時。正極材にリン酸鉄を採用しており、ニッケル、コバルト、マンガンなどに比較してコストが低く、発火安全性が高い。急速の充放電が可能で、早大が開発したマンガン系リチウムイオン電池搭載EVの約6分の1の時間で充電できる。 充電には電磁誘導式の非接触型急速充電器を使用する。(C)日刊工業新聞

正極にリン酸鉄を使用しているのでこの名称となるようだ。この正極材はコストが低く発火安全性が高いのが特徴。またこの鉄電池は、急速の充放電が可能である特徴があるので、電気自動車の充電に向いた蓄電池のようだ。

さて元の中国の記事に戻る。そのBYD社のシステムも、蓄電した電力を電気自動車の充電に使用することを想定しているようだ。そしてこのリン酸鉄リチウム電池は、1000キロワット、ということは1メガワットの蓄電能力がある。家庭用蓄電システムにはこれほど大きな蓄電能力が必要なのか、と驚かされるが、電気自動車の充電にも使用することを考えれば納得がゆく。

なおBYDには著名投資家のバフェット市が投資したが、それはこの蓄電システムに氏が着目したからだそうだ。このような家庭用の大規模蓄電システムは開発途上なのか日本メーカーの話題もほとんど聞いたことがない。日本メーカーが出遅れてなければよいが。

ウィーンの原子力発電所が太陽光発電所に

2009年11月17日(火)

太陽光発電が普及してくると原子力発電所も復活する。エコ志向人間はえっ、と思うだろうがこれは本当の話だ。太陽光発電は天候に発電量が左右される。供給電力のうち太陽光発電の割合が増えると、電力供給が不安定になる可能性がある。その解決策の一つがスマートグリッドなのだが、電力会社は電力安定供給のために原子力発電所の増設を考えている。将来全部の原子力発電所を停止することが決まっていたドイツすらその政策を見直し、エコ社会が実現するまでという前提ながら原子力発電所の復権に踏み切った。このような流れの逆の話題はないかと探したところ、見つけた。

オーストリアの話題だ。半年ほど前と少々古い話題だが、共同通信の6月26日記事から一部を引用する。

ウィーン近郊に1970年代に建設され、一度も運転することなく廃止されたツウェンテンドルフ原子力発電所で太陽光パネル300枚が設置され25日、発電が始まった。不要になった原発で太陽光発電を行う例のない試みで、計画を進めた地元電力会社は「エネルギーの将来を考える上で歴史的な日だ」と述べた。

ツウェンテンドルフ原発はウィーンの西約50キロにあり、オーストリア唯一の原発として完成状態にあったが、1978年の国民投票で操業しないことが決まった。発電所の施設はその後、地元電力会社が買収し、国外の原発技術者の訓練が行われている。

電力会社は120万ユーロ(約1億6千万円)をかけて原子炉建屋の屋上やその周りに太陽光パネルを設置した。来月中に計1千枚に増やす予定で、年間の発電電力量は18万キロワット時と、好天時の日中には数百世帯分の電力を賄えるとしている。(C)共同通信

ウィーン近郊にあり1970年代に建設されたオーストリア唯一の原子力発電所は、1978年の国民投票で一度も運転することなく廃止が決まった。1978年というともう30年前。そのような昔に、オーストリアは「反原発」の意識が高い国だったのだ。

そしていま、その運転されていない原子力発電所に太陽光発電システムが設置された。年間の発電量は18万キロワット時、というから、出力はだいたい180キロワットクラスと、大きな設備ではない。建設費は円換算で1億6千万円とのことなので、1キロワット当たりの建設単価は90万円程度。この記事が書かれた6月はユーロ高と思うので、円換算では少し高めになるかもしれない。どちらにしてもまあ順当な建設費だし、原子力発電所が太陽光発電所に装いを変えてスタート、ということは実に意義深い。

このオーストリアの状況を見て、原子力発電所の復権を果たしたお隣ドイツの市民はどのように感じているのだろうか。

中国東北部初の太陽光発電所

2009年11月16日(月)

今日は中国の話題。人民日報日本語サイトの11月5日記事「東北部初の太陽光発電所が稼動」から。

錦州濱海新区の西海工業区で3日、太陽光発電所の稼動式典が行われ、現代のハイテク技術を駆使したソーラーパネルなどが一堂に集まり、省内外の各界から参観者が訪れた。遼寧日報が4日伝えた。

錦州陽光エネルギー公司が建設した東北地区初の太陽光発電所は、総工費1200万元、敷地面積9045平方メートル、標準型ソーラーパネルとガラス構造のソーラーパネルのほか、屋根に取り付けるソーラーパネル、薄膜式ソーラーパネル、独立型太陽エネルギー路上照明などを採用。

発電所は今年7月に着工し、10月に竣工、電力消費は300キロワット、発電された電力は交流電力に転換され、西海工業区で利用される。年間発電量は約42キロワット時、400世帯の1年間の使用量に相当し、年間約130トンの石炭節約につながり、CO2排出量を252トン削減できる。(C)人民網日本語版

中国東北部に初めて建設された太陽光発電所が10月に竣工し11月3日に稼動式典が行われた、とのこと。

記事の訳がひどく、どのようなシステムか皆目わからない。想像だが、通常の結晶シリコン型太陽電池と薄膜型の2種類の体調電池が設置されているようだ。

「電力消費は300キロワット」とはまったくいいかげんな訳だ。太陽光発電所の話題でなぜ電力消費量なのか。ここは、出力300キロワットのシステム、と解釈しておく。中国はメガソーラーを建設中らしいが、この発電所の規模は小さい。

さてその次の訳がまったくわからない。「年間発電量は約42キロワット時、400世帯の1年間の使用量に相当」???。出力300キロワットの太陽光発電所の年間発電量が42キロワット時とはありえない。出力300キロワットのシステムなら、通常想定される年間発電量はだいたい300,000キロワット時、つまり300メガワット時程度だ。

ならば、1世帯の電力年間消費量が42キロワット時なのだろうか。日本では通常家庭の年間電力消費量が数千キロワット時なので、いくら中国一般家庭の電力消費が少ないとはいえ、42キロワットは少なすぎる。5ワットの豆電球を1年間つけっぱなしにするだけで約44キロワット時なのだ。

それでは、この発電所の出力は400世帯の1年間の使用量に相当、とのことから別の計算をする。発電所の(仮定)年間発電量300メガワット時を400世帯で割ると、1世帯当たりの年間電力消費量は750キロワット時、となる。これも日本の家庭よりは圧倒的に少なく、約85ワットの機器を1年間オンにした消費量だ。ただ中国東北部の一般家庭はこの程度の電力消費量なのだろうか。

仮定に基づき計算したが、どれもうなずける数字とはならなかった。これでは中国語紙の日本語サイトを作る意味がないだろう。


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