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カテゴリー:長崎県

太陽光発電で充電する電動漁船

このブログの3月30日記事「漁船と太陽光発電実験」に、長崎県の漁港での太陽光発電による充電で動く漁船について書いた。今日はその続編の内容だ。長崎新聞サイトの7月17日記事「県が全国初、電動漁船の実験スタート 対馬に太陽光発電施設整備へ」から一部を引用する。

対馬市厳原町の豆酘(つつ)漁港に太陽光発電施設を整備し、電動漁船を動かす県の実証実験が15日、始まった。県によると、こうした実験は全国初という。

漁船の省エネ化や二酸化炭素(CO2)排出量削減が目的。総事業費は約6千万円で水産庁が3分の2を補助する。

漁師の山下任由さん(55)が9月30日までアワビ漁などで使用。操業に必要な電力量や発電効率、燃油で動く漁船とのコストを比較するデータを集める。

岸壁近くに太陽光発電パネル(縦7メートル、横12メートル)や蓄電池を備えた給電施設を整備予定だったが、東日本大震災の影響で資材調達が遅れ完成が8月末に延びた。当面は急速充電器を用い通常電力で動かす。

電動漁船は東京海洋大が開発した「らいちょうS」(全長約8メートル)。同大によると、船体にリチウムイオン電池を搭載しており、30分間のフル充電で約4時間の航行が可能。モーターとウオータージェットを組み合わせた世界初の技術を導入し、プロペラを回さないため安全性が高いという。...(C)長崎新聞

これは、漁港に太陽光発電施設を設置して電動漁船を動かすという実証実験だ。本来は、岸壁に7m×12mというかなり大きな太陽光パネルを設置し電動漁船に充電する、という仕組みだが、東日本大震災の影響で資材調達が遅れ、とりあえず太陽光発電は使用せず通常電力による急速充電器を使う。完成は来月末、とのことだ。現状のシステムはのとおりだ。画像左側に急速充電器があり、漁船に充電中であることがわかる。

当ブログ前回記事で言及されていなかった電動漁船が今回の引用記事で紹介されていた。この漁船は東京海洋大が開発した全長8メートルの電動の船。船体には(今は高価な)リチウムイオン蓄電池を搭載し、30分のフル充電で4時間の航行が可能という性能だ。そして推進は「モーターとウオータージェットを組み合わせた世界初の技術」とのこと。プロペラは使用しない推進方法だ。そのため安全性が高いそうだ。この電動漁船でアワビ漁など実際の漁を行い、効果を検証する。

この推進方法は大変静かなことが予想できる。おそらく高価な船とは思うが、環境にやさしい船として将来が期待できる。ただ、船側には太陽光パネルは無いので、海上で「電池切れ」を起こすと動けない。太陽光パネルを備える、または内燃エンジンとのハイブリッドにする、という仕組みが実用船には必要になるだろう。

太陽光パネルに水を流して発電効率アップ

少し前の話題だがユニークな技術なので紹介する。読売新聞サイトの2010年12月27日記事「太陽光で発電・給湯同時に…長崎」から一部を引用する。

長崎のメーカー パネル開発

長崎県長崎市の制御機器メーカー「メックシステム」(寒川忠則社長)は、太陽光発電と太陽熱温水が同時にできる集熱パネルを開発した。

パネル内部に水を流し、温度上昇を抑えて発電効率を維持するとともに、温まった水を利用する一挙両得の仕組みで、長崎総合科学大(長崎市)の技術支援を得て実現した。来年度中の販売を目指している。

同社によると、一般的にパネルの表面温度が上がると発電効率は低下する。最も発電効率がいい表面温度は20~22度で、約40度になると10%、60度を超えると最大30%までそれぞれ下がるという。

同大の辻史郎客員教授が数年前、ソーラーカーレースを観戦していた際、チームがピットでソーラーパネルに水を浴びせ、発電効率を上げようとするのを目にしたのがきっかけ。発電と温水を併用出来るシステムを考案した。

同社は約1年前に開発に着手。パネルと表面の強化ガラスの間に冷却層をつくり、そこに水を流すようにした。水漏れ対策が最大の課題だったが、車のテールランプカバーを車体に固定するための接着剤をヒントに、パネル周辺に特殊なシールをはることで解決した。

今年度中に実証実験を行い、2011年度から発売する計画。パネル(縦1・5メートル、横1メートル)は一般家庭用では24枚が必要で、価格は500万円前後を想定している。...

太陽光パネル、特にシリコン結晶型は高温に弱い。この引用記事にもあるが、太陽光パネルの最も変換効率の高い表面温度は20~22度。40度では10%減、60度では30%減となってしまう。真夏の太陽光パネルは60度近いのではないか、と想像する。

そもそも太陽光電池は、太陽エネルギーを電気に変換する変換効率は高くはない。太陽光発電パネルの製品では、せいぜい20数%だ。一方、太陽熱温水器は太陽エネルギーの50%以上を利用できる、とされている。では、これらの技術を合体しよう、という製品が今日の話題の太陽光パネルだ。

これを開発したのは、長崎のメックシステム。同社のホームページを見たがこの話題が掲載されていないのは大変残念だ。企業イメージアップのチャンスなのに。

この新太陽光パネルは、パネルと表面の強化ガラスの間に冷却層をつくりそこに水を流すしくみだ。すると、太陽電池の表面温度は上昇が抑制され、また冷却層を流れた水はお湯となって利用できる、という優れた技術だ。

ただ、価格は少々高い。新太陽光パネルのサイズは1.5m×1mとのことなので、標準のサイズだ。これが24枚で約500万円とのこと。24枚ということは、1枚の出力を0.2kWとすると、合計出力は4.8キロワットとなる。家庭用太陽光発電システムとしては大きな方か。ただ、温水装置が付加されるとはいえ、価格は少々高く、優れた商品だが普及はそれほど進まないのではないだろうか。ライセンスを大メーカーに売ってそのメーカーが大量生産して価格ダウン、がベストな解かもしれない。それはともかく、非常に期待できる商品であることは確かだ。

漁船と太陽光発電実験

このブログでは、太陽光発電装置を搭載した船舶の話題を2回報じた。太陽光と風力で航行する船舶太陽光発電の電力だけで9時間航行できる船だ。今日の話題は船といっても漁船。読売新聞サイトの3月7日記事「太陽光電力で動く漁船、長崎県が6月から実証実験」から一部を引用する。

(長崎)県は6月から、太陽光電力を使用するモーターを搭載した電動漁船の実証実験を、対馬市厳原町で始める。省エネや地球温暖化防止、燃油価格の高騰に悩む漁業者の支援につなげるのが目的。約4か月間行い、消費電力、航行時間などのデータを収集したうえで、実用化を目指す。

太陽光発電パネル(縦7メートル、横12メートル)や急速充電器などを同町豆酘地区の漁港岸壁に設置。小型漁船(全長約8メートル、幅約2・2メートル、重量約1・3トン)には、モーターや充電したバッテリーを取り付け、地元漁業者にデータ収集を兼ねたアワビ、サザエ漁に出てもらう。燃費などの面でガソリンエンジン船との比較を行うという。

実証実験は、水産庁の補助事業で、「豆酘地区広域漁港整備事業」(2010~11年度)の一環として取り組む。水産業が盛んな離島地域として、同地区を実験場所に選んだ。今年度の事業費は約1000万円。

実験本番に向け、7日には県対馬振興局で、検討委員会を開催。大学教授や行政、漁業者らの5人が、発電施設の規模や漁船の性能などについて意見を交わすほか、実験を行う漁港の状況視察も行う。

同振興局の担当者は「漁業者にとって、燃油価格の高騰は深刻なので、負担を少しでも減らしたい。地球環境を守る意味でも、ぜひとも実用化につなげたい」と話している。

残念ながら、漁船に太陽光発電パネルが取り付けられているのではない。太陽光パネルは岸壁に設置される。他に急速充電器も設置される。漁船には、モーターと充電したバッテリーを取り付ける。つまり、岸壁に設置された太陽光発電装置からバッテリーに充電し、そのバッテリーを漁船に搭載し推進用モーターを回す、という仕掛けだ。

漁船の燃料が高騰しているいま、この仕組みとガソリンエンジン船との燃費比較を行うそうだ。これは水産庁の補助事業で、事業費は約1000万円とのことなので、小さな金額ではない実験だ。

この太陽光パネルのサイズは、7m×12mとのこと。面積は84平方メートルとなる。通常の太陽光パネルは、1.5平方メートルで出力0.2Kwなので、計算するとこの太陽光パネルの出力は、約11Kwとなる。バッテリーに充電するだけにしては結構大きな出力だ。11Kwというと、一般家庭の太陽光発電設備の3~4軒分だ。この大出力は、同時に多数のバッテリーを充電できるようにするのか、他の用途があるのか、のどちらかであろう。

三菱重工の企業内保育園の太陽光発電

4月2日発行の三菱重工ニュースの初の企業内保育園を長崎造船所に開設、あす開園式から。

初の企業内保育園を長崎造船所に開設、あす開園式
仕事と育児の両立を支援、CSR活動にも一役

三菱重工業は、長崎造船所(長崎市)内に保育園「三菱重工 キラキッズ保育園」(園長赤堀 美樹)を開設し、3日に開園式を行う。同保育園は、仕事と育児を両立しやすい職場環境づくりに寄与するとともに、CSR(企業の社会的責任)活動の一翼も担う。当社が企業内保育園を開設するのは、これが初めて。
...
実際の運営は、長崎市内で企業内保育園の運営実績を持つ社会福祉法人に委託。児童福祉法に基づき認可を受けた保育園と同等レベル以上のサービスを、割安の保育料金で提供する。給食・おやつのほか、延長保育時の軽食を園内で賄い、母乳を与えられる授乳室も設置。インターネットカメラや総合ガードシステムなどによりセキュリティー機能も充実させた。また、当社製の太陽光発電システムも導入し、照明用電力に充てる。
...

■ 「三菱重工 キラキッズ保育園」 概要
...
利用対象者
  当社社員、グループ会社社員

保育料金
  長崎市認可保育園保育料の半額程度(グループ会社社員は8割程度)

運営実務
  社会福祉法人 優心会に委託

主な設備
  ...
  太陽光発電システム(出力10.5kW)
(C)三菱重工

三菱重工の長崎造船所内に初の企業内保育園がオープンした、という話題だ。長崎といえば三菱重工の街。長崎市出身の後輩が学生時代、三菱の車に乗りナンバーは最後まで長崎ナンバーだったことを思い出す。(その彼、いまは三菱重工で結構な地位とか。。。)

この引用記事を読むと、大企業は福利厚生が手厚い、とつくづく思う。社員はこの保育園の利用料が通常の半額なのだから。

さてこのブログは太陽光発電関連ブログなので、その話題。この新設された保育園には出力10.5キロワットの太陽光発電システムが設置されている。10.5キロワットというと、一般住宅の太陽光発電の3軒分程度の出力だ。そしてこの太陽光発電設備による電力は照明用に使用される、とのことだ。

太陽光発電の電力だけで9時間航行できる船

読売新聞サイト長崎版の3月30日記事「HTB新目玉 ソーラーシップ来月運航」から一部を引用する。

佐世保市のハウステンボス(HTB)などが、国内で初めて太陽光発電で全動力を動かす旅客ソーラーシップ「アルクマール号」を開発し、29日、報道関係者に公開した。4月1日から、運河で営業しているカナルクルーザー(600円)の1隻として使われる。新生HTBの新たな目玉として期待される。

アルクマール号は長さ約14メートル、幅4メートルで、重さ13トン。51人乗りで、通常運航されていたクルーザー12隻の1隻を改造した。屋根の全面に太陽光発電用のパネル(縦約80センチ、幅約40センチ、厚み約3ミリ)を70枚張り、年間3000キロ・ワット・アワーを発電。内部には、蓄電用のリチウム電池が12基あり、2時間充電すれば、9時間は電池のみで運航できる。

環境に優しいエネルギーの普及を進める「長崎次世代エネルギーパーク」事業の一環で、HTBが造船会社などと共同で、2007年度から試験運航などをして、実用化にこぎ着けた。県の助成も含めて総事業費は約5800万円。
...(C)読売新聞

佐世保といえばハウステンボス。そのハウステンボスに太陽光発電だけで全動力を賄うことができる船が登場した。場内の運河で航行しているクルーザーの一隻を改造した、とのこと。船は13トンで51人乗り。その屋根に設置した太陽光発電パネルは、80センチ×40センチを70枚貼った。年間発電量は3000キロワット時、とのことだ。そして発電した電力は12基あるリチウムイオン電池に蓄電し、2時間の充電で9時間もの時間、電池のみで運航できる、とのことだ。

年間発電量が3000キロワット時ということは、出力は3キロワット程度だろう。小規模な住宅用太陽光発電システムと同じ能力だ。太陽光パネルの設置面積は、0.8m×0.4m×70枚 = 22.4平方メートルだ。通常の太陽光発電パネルなら、1.5平方メートルで出力0.2キロワット程度なので、この船に搭載された太陽光発電システムが通常のタイプと仮定すると、22.4平方メートル÷1.5平方メートル×0.2キロワット ≒ 3キロワットとなり、実際の数字と一致する。従って、通常の(恐らくシリコン系の)太陽光パネルが設置されているに違いない。

約3キロワットの出力で2時間充電すると9時間航行できるとは、この船の消費電力はかなり少ないだろう。船を動かすモーターの消費電力も少なく効率の良いことが予想される。

それにしてもこのクルーザー1隻の改造事業費が5800万円と高価なのには驚いた。蓄電池を含め、また推進用モーターの開発・設置にも費用がかかったと思われる。

この船は実証実験的な意味合いが強いと思うが、家庭用太陽光発電システム1軒分と同じ能力で13トン、51人乗りの船が9時間、電池だけで動くとは、実験は大成功だろう。

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